前回は、日本型金融システムの限界と、私たち一人一人が相応のリスクと責任を取れるような、新しい金融システムの必要性について述べた。今回は、その新しい金融システムについて、もう少し具体的に考えてみよう。
ファンドが主役のシステムへ
個人にリスクを取らせるという意味で、税制面での優遇措置などによって、リスクの小さい預金商品から、リスクの大きい社債や株式への資金シフトを促そうという考え方も広まってきている。しかし、それだけでは十分ではない。個人の潜在的なリスク許容力をフルに顕在化させるには、リスクの大きさや性格を異にする金融商品を多彩に品ぞろえすることが必要だ。
その中心となることが期待されるのが、投資信託や年金ファンドなど、株式よりも小口投資が可能でリスクの小さいファンド性の金融商品だ。株式中心と言われることの多いアメリカの金融システムにおいても、人々の金融資産の構成をみると、ファンド性の金融商品が中核であることが分かる(下図参照)。
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