このところの日本の人口の推移をみると、どうやら今年、2005年は、日本の人口が最も多かった年、あるいは減りはじめた年として記録に残ることになりそうだ。
もっとも、その変化はきわめて微妙で、日常のビジネスや生活において実感されるようなものではない。また、人口動態に関しては地域的な格差が大きいために、時間的な変化が目立たないという面もある。
都会の少子化、田舎の高齢化
2004年、日本の人口は0.05パーセントとごく小幅ながら増加した。これを都道府県別にみると、増加しているのは12の都府県に過ぎない。多くの県はすでに人口減少時代に入っているわけだ。
しかし、増えている都府県の多くが、人口が集中している地域にあたるため、日本の総人口のほぼ半数が、人口が増えている都府県に居住している形になっている。さらに、減少している県でも、県庁所在地など、人口の集中している都市部では人口が増えている場合が多い。そのため個人のレベルでは、自身の生活空間において人口減少を経験している人は、依然として少数にとどまっているのである。
ただ、人口が減っているのは田舎であるが、人口減少の最大の要因である少子化の進行では、都会の方が先行している。
子育て段階にあると想定される20歳から49歳の大人一人に対する子供の数をみると、都会(ここでは、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、京都、兵庫、滋賀、愛知の9都府県を想定)では0.21人であるのに対して、田舎(上記以外の道県)では0.25人となっている(下表参照)。これは、少子化の傾向は都会でも田舎でも明らかに見られるものの、その程度は都会の方がより甚だしい、あるいは先行しているということだ。
にもかかわらず、田舎の方が先に人口を減らしはじめているのは、子育て世代の比率が低い一方で、高齢者の比率が高いためである(表)。要するに、子育て世代の人々それぞれが生み育てる子供の数は田舎の方が多いが、その世代の人が少ないため、出生数が死亡数と県外移出数に追いつかず、人口が減っているのである。
「少子高齢化」とひとまとめに言われることが多いが、その進行という意味では、少子化は都会、高齢化は田舎が先行する形で、地域的には大きな違いがあるわけだ。
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