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三井物産戦略研究所WEBレポート
2007年12月14日アップ
2008年の世界経済展望−新たな秩序形成が視野に−
 トピックス:原油価格の展望

 2007年の原油価格は、年初にWTIで1バレル50ドルを割る寸前まで下落した後、概ね上昇基調で推移し、10月下旬には初めて90ドル台を記録、11月には100ドルに迫る水準にまで上昇するという、きわめて激しい動きを見せた。
 10月以降の価格高騰の背景としては、トルコの対クルド政策をめぐるイラク北部地域の緊張や、メキシコ湾の悪天候により同地域の石油供給に不安が生じるとの見方、さらには、サブプライムローンの問題を受けて投資先を模索していた投機資金が原油を買いに動いたためといった見方が指摘されていた。90ドル台という水準自体は、これらの要因が重なったことによる一時的な「行き過ぎ」と考えられる。実際、12月に入ると、WTIは90ドル前後にまで低下した。
 原油価格については、06年の段階では、世界経済の動きとの関係から、当面の均衡レンジとして、60ドルから70ドル台前半という水準が想定されていた。その際には、そのレンジを超えて原油価格が上昇すると世界経済に大きな減速圧力として働くということと、世界経済が減速すれば原油価格は下落に転じるという二つの前提を置いていた。しかし、07年後半の上昇局面は、サブプライムローンの問題を背景に米国をはじめとする世界経済の先行きに不透明感が高まるなかでの現象であり、景気動向と原油価格が必ずしも連動しないことが示された。
 08年の原油市場では、世界の景気動向に見合った新たな均衡レンジを模索する展開が予想されるが、そのレンジは相当に広いものである可能性が高まっている。それに加えて、市場に流入してくる資金量の拡大もあり、原油価格は60ドルから90ドルといった広いレンジで、不安定な動きを繰り返すことになりそうだ。

原油価格(WTI)の推移


総論
■2008年の世界経済展望−新たな秩序形成が視野に−
トピックス
■サブプライムローン問題のインプリケーション


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