スマイルカーブの構図
「スマイルカーブ現象」という表現がある。もともとは電子機械産業の収益構造を表す言葉だ。電子機械産業では、事業プロセスの川上に位置する商品開発や部品製造の段階と、川下にあたるメンテナンスやアフターサービスの部分の収益性は高いが、中間の製造段階はあまり儲からない傾向がある。この様子を、縦軸に収益性、横軸に事業プロセスをとってグラフ化すると、両端が高く、中ほどが低い線が描け、ちょうどスマイルマークの口のラインのようになることから、「スマイルカーブ現象」と呼ばれているのである(下図)。
この現象は、必ずしもすべての産業にあてはまるわけではないという指摘もある。自動車産業のように、部品相互を調和させることの重要性が高い商品、産業の場合には、中間段階の収益性も維持されているという見方だ。
しかし、そうした個々の産業に関してではなく、日本の産業全体を対象に考えてみると、スマイルカーブという言葉で表される現象は、経済の成熟化にともなって、確実に時代の趨勢となっている。
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