世界でナンバーワン、ナンバーツーの人口大国、中国とインドが本格的に経済発展の階段を登りはじめています。この動きは、私たち日本の経済や産業にとっても、たいへん大きな意味を持っています。
本格化した経済発展
それぞれの国の経済は、法律体系の整備や政治の安定、十分な資本の蓄積、あるいは国外からの資金導入といった条件が整ってくると、急速な発展、成長を開始します。かつてのヨーロッパの国々やアメリカ、日本がたどった道筋です。
その後は、シンガポールや韓国などアジアの国々が続いてきていましたが、21世紀に入って、いよいよ中国とインドの二大人口大国が本格的な経済発展の段階に入ってきました。2001年から04年までの累計で、人口13億人の中国は39パーセント、11億人のインドは27パーセントという、急速な経済成長を記録しています。
生産拠点から巨大マーケットへ
1990年代には、中国、インドの両国は世界の生産拠点として注目されていました。低賃金の労働力を求めて、先進国の企業がこぞって工場を開設した中国は、衣料品や家電製品などの一大生産国となりました。また、英語を公用語とするインドには、コンピューターソフトや情報システムの開発拠点が数多く設けられました。
その結果、両国の経済が発展を開始すると、今度は両国の消費市場の将来性が注目を集めるようになりました。現時点では、中国もインドも、一人当たりの平均の所得額や消費額でみると、先進国の数十分の一の水準に過ぎない貧しい国です。しかし、都市部では、自動車や家電製品を購入できる豊かな人も急速に増えてきています。
今後さらに経済が発展すれば、それぞれ10億人を超す人口を擁する巨大なマーケットとして浮かび上がる可能性は大きく、成長の鈍った先進国の企業にとっては、きわめて有望なマーケットとして期待されています。
懸念される資源と環境の問題
両人口大国の発展は、先進国の産業、企業にチャンスを提供すると同時に、不安材料にもなっています。経済が発展すれば、エネルギーや天然資源の消費量、また環境への悪影響も増大します。なにしろ2カ国で世界の3割近い人口を擁する経済ですから、その影響力は巨大です。ここ2年ほどで、原油価格は3倍近くに上昇しましたが、それも人口大国の発展という要素があってのことです。
だからといって、すでに経済発展の果実を味わっている先進国の方から、彼らの発展に文句をつけるわけにはいきません。日本を含む先進国にとっては、人口大国の発展を自国の経済の活性化に結び付けていくためにも、新エネルギーの開発や省エネ技術、環境技術の提供で、中国やインドの発展にともなう不安要素を軽減していくことが、望ましい方向性と言えるでしょう。
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