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読売新聞 2002年6月6日付朝刊掲載
真の信用回復へ正念場
−銀行に関する世論調査へのコメント−

 調査結果で注目すべきは、人々が銀行に対して抱いているイメージが1年前の調査に比べて向上したことだろう。
 昨年と今回の調査結果を比較すると、「信用」「堅実」「親切」といったポジティブな選択肢を選んだ人の割合が増え、「横柄」「冷たい」などのネガティブな選択肢はいずれも低下している(下表)。
 この結果は、4月にみずほグループのシステム障害問題が大きな話題となっていただけに、いささか意外なものであった。
 背景を探ってみると、まずは、多くの銀行が個人の顧客を重視する戦略を打ち出してきたことが挙げられる。
 個人顧客向けの新しい金融商品やサービスが次々に提供され始めたり、コンビニに銀行のATMが設置されたことで、銀行は人々に身近な存在になった。それを人々に認知させるための、マスコミを通じたイメージ戦略も積極的に展開された。
 「みずほ」、「UFJ」といった目新しい名前が登場した。加えて、金融ビッグバンを受けた変化がようやく鮮明になり、IYバンク(イトーヨーカ堂)など新設の銀行がサービスを開始し、従来の銀行とはまったく違うビジネスモデルを提示した。これらの要因が複合的に働いて、人々の銀行への印象が変化したのであろう。
 もちろん、このイメージアップを手放しで喜べる状況ではない。預金している銀行の経営状態に不安を感じている人は、回答者の半数に達している。銀行への期待でも「経営基盤の安定」を挙げた人が最も多かった。
 実のともなわないイメージは崩れるのも早い。向上したイメージに追いつくだけの経営基盤強化とサービス拡充を急ぐことが必要である。銀行の正念場はこれからだ。

銀行に対して持っているイメージ(複数回答、単位:%)



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