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いきいき 2004年9月号掲載
連載「未来への視点」第4回
デジタル家電ヒット中

 新しいタイプの家電製品「デジタル家電」の売れ行きが好調です。なかでも、薄型大画面テレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラの3品は「新・三種の神器」と呼ばれて、注目を集めています。


「三種の神器」と「3C」

 「三種の神器」というのは、もともとは皇位を示すものとして代々の天皇に伝えられた剣、鏡、勾玉の三つの宝物のことです。日本が高度成長を続けていた昭和30年代、人々の憧れだった三つの商品を指して、この言葉が使われました。テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫の3品です。これらの家電製品がひととおり普及すると、人々の憧れはさらにグレードアップします。自動車、カラーテレビ、クーラー。英語の頭文字を取って「3C」と呼ばれました。
 当時の人々にとって、これらを揃えることは、豊かになった証のようなものだったのです。「三種の神器」と「3C」が普及し、人々がそれなりの豊かさを手に入れたところで、日本の高度成長は終わりを告げました。


30年ぶりの大ブーム

 高度成長が終わった昭和50年代以降も、ビデオデッキやムービー、CD、ファックスなど、魅力的な家電製品は登場してきましたが、大ブームにはなりませんでした。それはやはり、「三種の神器」や「3C」に比べて、暮らしのなかでの“欠かせなさ”の度合いが低かったからでしょう。
 今回のデジタル家電のブームは、高度成長期の「3C」以来、実に30年ぶりの家電ブームということになるわけです。
 その背景としては、デジタル技術をはじめとする技術革新が急速に進んだことや、景気の回復局面と重なったことがあげられます。短期的には、アテネオリンピックが追い風になった面もありそうです。


舞台は世界

 今回のデジタル家電のブームが「三種の神器」や「3C」のときと大きく違っているのは、作る側と買う側の両方が世界規模に広がっている点です。
 「三種の神器」や「3C」のときには、アメリカやヨーロッパの後追いで生産をはじめた日本ですが、デジタル家電では、世界をリードする立場にいます。日本製のデジタル家電は、日本国内だけでなく、アメリカやヨーロッパ、さらには急成長中の中国や東南アジアにも出荷されています。
 生産のほうもグローバル化しています。日本メーカーの製品でも、実際に作っているのは海外の工場だったりしますし、薄型大画面テレビでは韓国メーカーが強力なライバルになっています。
 消費の最前線は、グローバル化の最前線でもあるのです。


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■耐久財ブーム再び−「新・三種の神器」のインパクト−
 (読売ADリポートojo 2004年7-8月号掲載)


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