当サイトおよび弘文堂のWEBマガジン“recre”誌上で連載しました「映画でみる私たちの経済」の企画が、2007年7月10日、単行本として出版されました。タイトルは「未来への経済論−映画で読み解く私たちの行方−」です。連載時の原稿を大幅に加筆、項目も増やしてまとめたものです。連載時からお読みいただいている方、あるいは日頃から当サイトをご覧いただいている方には、間違いなく楽しんでいただける内容だと思います。書店にて、お手にとってみていただければ幸いです(Amazonの紹介・購入ページへ)。以下、本書の紹介です。 
 
            
              
                
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                    - 書名:未来への経済論―映画で読み解く私たちの行方−
                    
 - 著者:小村智宏
                    
 - 出版社:弘文堂
                    
 - 体裁:単行本(ソフトカバー)、 228ページ 
                    
 - 価格:1,995円(税込) 
                    
 - ISBN-10: 4335450281 
                    
 - ISBN-13: 978-4335450280
                    
  
                     - Amazonの紹介・購入ページへ
					
 
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■本書の紹介(本書「はじめに」より抜粋) 
 
この本は、「経済」の本です 
 この本は、タイトルにもあるとおり、経済について書いた本です。経済の話というと、なにやら難しいものと思われがちです。ですが、私たち誰もが経済の動きに生活を左右される現代では、「難しい」とか「分からない」といって避けてばかりもいられません。それに、経済の仕組みを基本的な部分だけでも理解できていると、日々経験する出来事、あるいはテレビのニュースや新聞の記事で見る世の中の出来事が、より興味深く、場合によっては、より面白く感じられるようになるはずです。そこで、この本では、私たちの社会や経済の仕組みについて、基礎の基礎から考えなおしてみようと思っています。 
 
この本は、「経済学」の本とは、ちょっと違います 
 この本は、経済について書いてはいますが、通常の経済学の本とは違います。この本には、経済学で使うような、難しい理論や専門用語、数式やグラフは出てきません。それらの代わりとなるのが、数々の映画です。映画のストーリーや情景を取っ掛かりにすれば、難しい理論から入っていくよりも、ずっとストレートに、経済の本質を感じ取れることと思います。そして、映画を通じて経済の基本的な仕組みを感じ取っていただいていれば、その後で経済学を学ぶ場合にも、その理論をリアルに理解できることと思います。その意味では、この本は、経済学を学ぶうえでの土台になる本でもあると思っています。 
 
この本は、私たちの「未来」について考える本です 
 この本では、現在の経済の仕組みを解き明かしていくことに加えて、もう一つの大きなテーマとして、未来の経済や社会がどのようなものになるのかについても考えていきます。現在までの経済の変化は、一面では「進歩」とか「発展」と呼ぶことができるでしょう。ですがその一方で、現在の経済はさまざまな問題や矛盾を抱えてもいます。これからの私たちは、そうした問題や矛盾を解消する方向に進むのかどうか。私たちの前にはより良い未来が開けているのかどうか。この本では、そういう問題意識に立った議論もしていきたいと思います。 
 
 この本は、下記のとおり、全6章、29の項目と6本のコラムで構成されており、取り上げた映画も30本あまりになります。それぞれの作品のストーリーやポイントについては簡単に紹介してありますので、映画自体をご覧になっていなくても、本題の議論には十分参加していただけると思います。また、各章、各項目は、一続きの流れにはなっていますが、個々の項目をバラバラにお読みいただく形でも、私たちの社会や経済を理解するための材料にはなると思います。まずは、好きな映画、あるいはご覧になったことのある映画を題材にした項目から読んでいくというスタイルでも大丈夫です。入り口はどこでも構いません。どこでもお好きなところから、経済と私たちの未来についての議論に、参加してみてください。 
 
■本書の構成 
 
第1章 経済−分業と市場のメカニズム− 
 ・「分業」が経済の基本−エデンの東 
 ・価格メカニズムと市場の役割−大逆転 
 ・「いちば」の情景−ローマの休日、太陽がいっぱい 
 ・通貨の条件−デリカテッセン 
  コラム:教材としての映画 
 
第2章 仕事−「働く」ということの意味− 
 ・分業の光と影−モダン・タイムス 
 ・お金の稼ぎ方−ブルース・ブラザース、バットマン・ビギンズ、ほか 
 ・「やりたい仕事」ができる幸せ−私をスキーに連れてって 
 ・「失業」という痛み−自転車泥棒、フル・モンティ 
 ・家庭と仕事と経済と−クレイマー、クレイマー 
  コラム:映画の仕事 
 
第3章 企業−生産活動の場、儲ける仕組み 
 ・企業の本質と金融の役割−タッカー 
 ・企業の多面性−麗しのサブリナ、アパートの鍵貸します、ほか 
 ・「企業」への不信感−ショーシャンクの空に 
 ・企業の存在意義−プリティ・ウーマン、アザー・ピープルズ・マネー 
 ・株式市場の役割−ウォール街 
  コラム:映画で出会う芸術と産業 
 
第4章 政府−公共事業と政府の役割− 
 ・公共事業の基本の基本−七人の侍 
 ・コミュニティによるコミュニティのための事業−素晴らしき哉、人生! 
 ・公共の利益と規制の役割−ショコラ 
 ・肥大化した政府の悪夢−未来世紀ブラジル 
 ・社会的合意形成の難しさ−真昼の決闘 
  コラム:プロパガンダとしての映画 
 
第5章 進歩−「豊かさ」への道程− 
 ・分業は時空を超える−ターミネーター、ターミネーター2 
 ・競争と経済発展−ユー・ガット・メール 
 ・三つの「豊かさ」−ジュラシック・パーク 
 ・価値としての「情報」−ディーバ 
 ・豊かさの形と進歩の原動力−プリティ・ウーマンほか 
  コラム:映画の「豊かさ」 
 
第6章 未来−超えるべき課題と私たちの行方− 
 ・人と自然と産業と−もののけ姫 
 ・進歩を拒む勇気−刑事ジョン・ブック 目撃者 
 ・成功の呪縛−ゴッドファーザーPARTII 
 ・変質する「格差」の構図−メトロポリス、麗しのサブリナ、フル・モンティ 
 ・未来の「私たち」へ−ブレードランナー 
 コラム:映画は時代を超える 
 
 
 
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